南ア深南部 六呂場山(1748.0m) 2016年10月22日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:08 ゲート−−7:03 尾根取付(標高890m)−−8:25 矢筈尾根(標高1460m)−−9:29 矢筈山(1740m)−−9:45 六呂場峠−−10:11 六呂場山(休憩) 11:12−−11:26 六呂場峠−−11:54 矢筈山−−12:34 矢筈尾根を外れる−−13:04 林道−−13:39 ゲート

場所静岡県浜松市天竜区(旧水窪町)
静岡県榛原郡川根本町
年月日2016年10月22日 日帰り
天候
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場ゲート手前の林道路側に縦列駐車可能
登山道の有無無し
籔の有無ほぼ無し
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
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コメント私にとって南ア深南部核心部で地形図記載の最後の山。戸中川林道ゲートから西俣沢沿いの林道を上がり1155m標高点のある尾根経由で矢筈尾根に出て山頂を往復。1155m標高点のある尾根は入口から目印が多数連続し利用者が多い。矢筈尾根末端から登るより1412m峰の登りが無くなって楽できる。林道の状態は良好。矢筈尾根も目印多数。倒木多数なので左右に避けながら歩く。不動岳、黒沢山と違って六呂場山周辺は笹は皆無で歩きやすい尾根が続く。山頂には「名言」の標識あり


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ゲート前の駐車余地。ここまで通行可能だった ゲート
今日はこの橋を渡る 奈良代山へ向かう吊橋
川原には新たな林道あり 距離表示ポスト
造林小屋の水源。一般的にはここが矢筈尾根取付 標高890mまで林道を上がってから尾根に取り付く
尾根上の目印 尾根取付から道がある
尾根上の目印 尾根上の目印
尾根上の目印 標高980m付近。今は使われていない
標高1020m付近 標高1080m付近
標高1090m付近 標高1170m付近
植林では白ペイントの目印も目立つ 標高1220m付近
標高1320m付近。南側にガレが見える 標高1350m付近
標高1420m付近 標高1460m肩の巨大倒木
矢筈尾根に乗ると倒木が一気に増える 1450m鞍部付近。典型的二重山稜
標高1460mのシラビソ大木 標高1590m付近
標高1730m付近 矢筈尾根分岐から黒沢山方向
矢筈尾根分岐(1740m肩) 六呂場山へ下る
登ってきた矢筈尾根 標高1430m付近。小ピーク
標高1420m付近 標高1320m付近
1300m鞍部(六呂場峠) 六呂場峠の標識
峠から六呂場山への登り返し 標高1320m付近。小ピークあり
小ピークを越える 標高1350m付近。鞍部あり
六呂場山への最後の登り。結構な急斜面 標高1700m付近
六呂場山山頂 有名な標識
山頂で休憩 不動岳方面
南西尾根方面 六呂場峠
1740m肩から矢筈尾根へ 1740m肩の標識。往路では気付かなかった
派手なリボン 標高1460m肩の巨大倒木で右へ進路変更
標高1360m付近。急斜面をジグザグに下る 間もなく林道
林道に出た 川原の工事現場。作業中
ちょっとだけ林道ショートカット 神社?
壊れた鳥居 石碑
矢筈尾根末端 東俣沢、西俣沢が合流すると戸中川になるようだ
ゲート奥の造林小屋 小屋前には水が出ている
ゲート 3台ほど車が増えていた


 南ア深南部の範囲の定義は定かではないが、個人的には寸又川源流部から井川より上部の大井川右岸地域だと思っている。これより平野に近い地域は深南部前衛と呼ぶべきであろう。先日の千頭山で南ア深南部の地形図記載の山は最後だと思っていたのだが、六呂場山が残っていることが判明した。残り1山なら早速片付けたくなるのが人情で、日本海側の天気が早めに崩れそうな天気予報だったので好天が期待できる太平洋側の南ア深南部へと向かうことにした。

 念のためにネットで情報収集すると、少なくとも今年5月、6月には戸中川林道ゲートより6km手前で林道が通行止めとのこと! この林道を利用した夏場の記録は無くまだ通行不能なのかもしれない。行き先を変えようかと思案していた矢先に10月に黒法師山へ登った記録を発見、ゲートまで車では入れたとのことで林道工事が終わったようだ。これで行き先が決定した。

 長野市からでも水窪は遠い。東京からだと飯田経由と天竜経由の2ルートが考えられるが長野市からだと飯田経由に限定される。先週も通った道なのでカーナビの出番はない。「かぐらの湯」を過ぎた少し先で国道152号線は工事中で、兵越峠への県道を上がって静岡県へ。青崩トンネルができるのは何年後だろうか。開通すれば遠山郷から水窪まで30分もかからなくなるだろう。

 白倉林道を左に分けてさらに下っていき水窪ダムの案内で左へ。この道を通るのは何年ぶりだろうか。ダムを渡って対岸へ入り、駐車場を過ぎるとダートに変わるが通行止めの案内は無し。心なしか昔より路面状態がいいような。落石も無くゲート前に到着。どこが工事個所だったのか分からなかった。先客は車2台。ゲートより手前の路側が広まった場所に縦列駐車して仮眠。明け方近くに1台車がやってきた。ここまで南下すると朝の冷え込みは弱くて助かる。

 今日のルートはネットで見つけた矢筈尾根。矢筈尾根とは六呂場山から黒沢山方向に登った1740m肩から南西に落ちる太い尾根で、不動岳経由や六呂場山から南西に落ちる尾根まで林道経由で歩くよりも楽ができそうな雰囲気だ。正式な登山道はないが利用者はそれなりにいるようで、先日の犬切尾根みたいな存在と考えてよかろう。ネットで見かけたいくつかの記事は全て矢筈尾根末端から上り下りしているが、これだと途中の1412m峰(矢筈山)を越える必要があり、余分な標高差を稼ぐ必要がある。それよりも1473.7m三角点のすぐ北側から西へ落ちる尾根を使う方が良さそうだ。林道歩きが少し長くなるが、この区間の林道は登りが続くので林道で高度を稼げるし、余計なピークをパスできるのが大きい。エリア的、標高的に考えて藪は無いだろう。

 西俣沢への林道を入るのは初めてだ。ゲートを越えてすぐに左に分岐する林道がそうである。橋を渡ると左手に吊橋があり「奈良代橋」と書かれており、地形図ではここから奈良代山まで破線が描かれている。少し進むと河原へ分岐する車道があり、河原で工事中らしい。その先の林道も現役のようで、つい最近に重機で落石や倒木を路外に押し出した形跡がある。ヘアピンカーブを2回曲がったところには水源タンクあり。一般的には矢筈尾根はここから登り始めるようだが、私はまだ林道を先に進む。

 この後も林道は良好な状態が続き、今でも林業作業に使われているようだった。目的の尾根は遠めに見ても大きく張り出しているのですぐに分かった。ただし末端付近は法面状でどこから取り付くか思案しながら進んだが、うまいことに末端近くで斜めに上がる獣道?を発見。入口付近には数個所に渡ってピンクリボンが下がっており、明らかに人間も利用している。林業作業用だろうか。

 明瞭な道を進んで尾根に乗ると藪は無く、道は薄いが目印がとにかく多く、先ほどのピンクリボンだけでなく赤テープ、赤布、荷造り紐など多彩で、登山者が付けた目印も少なくないと思われた。途中2箇所で「六呂場山へ」の小さな標識まで出現、もはやこの尾根が矢筈尾根ルートとしてかなり使われていることは明らかだった。私と同じように楽をしようと考える人は結構いるようだ。それに人間の足跡と思われる真新しい土の乱れも。たぶん昨日登った人のものだろう。

 植林帯の中を放置された間伐材を避けながら進んでいく。ここでは植林の幹に白いペイントも見られた。標高1180mで傾斜が緩むと自然林に切り替わり道があやふやになるが、相変わらず藪は皆無なので尾根上の歩きやすいところを適当に登ればいい。

 標高1300m付近にかかると地形図の表記どおりに傾斜がきつくなり、獣道は尾根を直上せずにあちこちに分散するようになる。適当にジグザグを切るようなルートを拾いながら上がっていくが、目印が登場するのでみな同じ考えらしい。右手にはこれまた地形図どおりにガレの谷が見えている。

 傾斜が緩めば矢筈尾根は近い。合流点は1473.7m三角点峰付近だが、この辺は尾根幅が非常に広いので下山時は要注意だ。しかし標高1460m肩で巨大な倒木が登場し、これが尾根入口のいい目印になった。

 矢筈尾根に乗るとそれまでと違って大きな倒木が目立つようになる。苔生した古い倒木はシラビソだと思うが、比較的新しい倒木にはブナなどの広葉樹も混じっている。一般的には広葉樹の方が針葉樹より根の張り方が深く簡単には倒れないのだが、それが根元から倒れて地面に大穴が開いていることも。倒木が折り重なっている個所もあり、局地的にかなりの強風が吹いたようだ。植生は相変わらず地面付近の藪は皆無で歩きやすく、倒木を左右に避けつつ広い尾根を進んでいく。2重山稜もあったりで下りはちと気を付けた方が良さそうな地形だが、ここも目印が点在している。目印はあっても道はほぼ無しでどこでも自由に歩ける状態で、鹿道を拾って進んだりする。広い尾根は矢筈尾根入口付近まで続く。緩い傾斜が続き足に優しいが、先週の千頭山の疲労が抜けきっていないようで足が妙に重い。ペースを落としてゆっくりと登っていく。

 1740m肩直下で僅かに低い笹が現れるがほとんど障害にならない程度。倒木の多さの方がずっと煩わしい。1740m肩で水窪/川根境界尾根に乗るが道は踏跡程度。この先は尾根がはっきりするので道があろうと無かろうと藪や岩などの危険個所さえなければルート判断は問題ないだろう。

 六呂場峠まで急な下りが続くが尾根が痩せると明瞭な道が登場する。人間が作った道ではなく獣道の流用で、尾根上だけでなく地形図に表現されない小ピークを巻く獣道もあった。

 最低鞍部が六呂場峠で西側の谷は緩やかな傾斜だが東側は急激に落ち込んでいる。よく見ると立ち木に小さな標識がかかっていた。

 ここから六呂場山まで急な登りが続く。ここも藪無し斜面でどこでも自由に歩ける植生で尾根形状を成していないので獣道は分散し、あちこちに薄く付いている。その中でも適度なジグザグを切るルートに目印が付いているが、登りの時は適当に登っても山頂に到着するのであまり気にする必要はない。

 ようやく傾斜が緩めば山頂は近く、背の高い樹林帯を登り切って六呂場山山頂に到着。地面には横長の木製の古い山頂標識あり。立ち木には黄色い樹脂製の有名な標識あり。標識と言っても山頂名は書かれておらず、その文字はこうだ。「耳目は欺かない 判断が欺くのだ」。私は六呂場山に登るのは初めてなので目にするのも初めてだが、昔の記録にも登場したような記憶がある。樹脂製なので腐ることはないが、紫外線による硬化で柔軟性を失って割れることはあるだろう。でも現状では健全なままだった。しかしまあ、なぜにして六呂場山でこの名言なのか。ここから六呂場峠への下りのことを言っているのだろうか。もっと間違えやすい山や場所に付けた方が良かったかも。でも、この看板は長年ここに鎮座して「名物」となっている。今では六呂場山山頂に欠かせない存在だろう。

 その看板の目の前で休憩。この標高だとシラビソの純林ではなく落葉樹も混じっていて、落葉が進んで日当たりのいい場所があるので休憩には最適だった。ザックを地面に置いてマット代わりにして横になると短時間だが気持ちよく熟睡できた。この間に訪問者はいなかった。

 下山は往路を戻る。山頂から南西尾根を下って林道に出ることも可能だったが、この場合は林道歩きがやたらに長いし、不動岳登山口より先の林道の状態は調べてこなかったので、寸又川林道のように崩壊が激しかったりすると面倒だと考えての結果だ。

 六呂場峠への下りはタダの広い斜面なので目印を参考に下っていき、下部に尾根地形が見えれば安心だ。小ピークを越えて1740m肩への登り返しはきつい。帰りに気付いたが矢筈尾根入口にはささやかな標識あり。でも小さ過ぎて気付かない人が多いと思う。まあ、地形的に明瞭なので間違うことは無いと思うが。

 広い尾根なので下りで外さないかちょっと心配だったが、普通に歩いていて外すようなことはなかった。ここでは倒木の迂回ルートを効率よく探すのがコツだ。二重山稜になる手前で上がってくる単独男性と遭遇。犬切尾根では誰とも会わなかったが、ここでは人がいた。話を聞くとこれから六呂場山を往復し、黒沢山方面へ幕営で周回だそうだ。おそらく最後は林道起点の奈良代橋に下りてくるのだろう。渋すぎるルートだ。こんな場所で出会った人だから当然といえば当然か。ラジオの天気予報では明日夕方までは雨は降らないようなので、山の上で快適なテント泊が楽しめるだろう。

 帰りは三角点でも見てから下山しようかとも思ったが、二重山稜の北側を歩いていたら自然とピーク北側を巻く形になってしまい往路の尾根分岐の巨大倒木に到着、面倒なのでそのまま下ることにした。急傾斜区間は大きくジグザグる獣道を繋げて歩く。植林帯に入って間伐材を避けながら歩きやすい場所を繋げていったら尾根の北側へズレてしまって途中で軌道修正。林道に降り立った。

 帰りはゲート奥の林道分岐点に立つ造林小屋に立ち寄ってみた。残念ながら施錠されて入ることはできなかったが内部はきれいだった。外にあるシンクの水道からは水が出ていて、ここで水補給が可能なのは結構便利かもしれない。ゲート手前の駐車余地の車はちょっとだけ増えていた。


 振り返る。今回使った矢筈尾根は取付点を含めて目印多数、獣道あり、藪無しで歩きやすい尾根だった。もしかしたら矢筈尾根末端から登る人より今回の取付点の方が利用者が多い可能性すらある。たぶん黒法師岳方面の林道経由より時間はかからないと思う。今回は六呂場山のみだったが、不動岳〜丸盆岳〜黒法師岳などを絡めて周回するにも利用価値は高いだろう。あとはゲートまで林道が通行可能であることを祈るばかりだ。一度崩れると数ヶ月は通行不能となる。

 

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